松本太一録

がんデータベース推進法が成立

がんデータベース推進法が成立

昨日(2013年12月6日)「がん登録推進法」が衆議院で可決され成立しました。この法案はがん研究の推進力になるでしょうか。

「がん登録推進法」は、議員立法として提出されたもので、がんの治療方法の研究などに生かすため、医療機関に、患者のがんの種類や進行度、治療の内容などの情報を都道府県に提供するよう義務づけ、国が都道府県から情報提供を受けて、がんに関する全国規模のデータベースを整備するとしています。(via NHK NEWS WEB)

僕は薬学部に在籍していて、がん(特に多発性骨髄腫)に対する、副作用がない抗がん剤の開発を目標に日々研究活動を行っています。

研究のテーマを設定するにあたり、最も重要なポイントは「臨床で何が問題になっているのかを知り、それに向けて研究を組み立てること」だと考えています。

しかしながら、たったいま臨床で何が問題になっているかを知るのは困難なのが現状です。僕達の研究室では医学部の先生方と連携して、月に一度はミーティングを開き、臨床の話を聞ける機会がありますが、それでも現状や問題点を把握することはなかなかできません。

この問題を乗り越えるためには、医局のカンファレンスに参加する努力や、実際に患者さんと話せる、カルテを見られるというようなシステム上の問題を解決すべきなのかもしれません。

今回成立した「がん登録推進法」は、こういった医学部以外のがん研究者が臨床の情報を収集しやすくするかもしれません。

がん登録法案の整備に尽力された「国会がん患者と家族の会」が作成した「がん登録等の推進に関する法律案 概要(国会提出版)」に記載されている基本理念によれば、

がん登録等の情報について、民間を含めがんに係る調査研究に活用、その成果を国民に還元

という一文が記載されています。このことは、僕のような研究者もデータを使って様々な観点から解析できることを意味しているのかもしれません。

登録されるデータとしては、

  1. がんに罹患した者の姓名、性別、生年月日
  2. 届出を行った医療機関名
  3. がんと診断された日
  4. がんの発見経緯
  5. がんの種類及び進行度(転移性のがんに係る原発性のがんの種類及び進行度が明らかではない場合にあっては、その旨)
  6. 2の医療機関が治療を行っていれば、その治療内容
  7. 3の日における居住地
  8. 生存確認情報 等〔現状の地域がん登録の登録項目と同様の項目を想定〕

となっています。

がんの種類および進行度と治療内容を参照できるのは非常に研究の手助けになると思います。

ただ、願わくば、

  • 遺伝子変異
  • 細胞表面マーカー

といった細胞生物学的なデータが入ると、さらにがん研究の推進が図れるのではないかと思います。どういった性質をもった細胞が腫瘍化したかはたくさんの重要な情報をもたらしてくれます。

個人情報なので公開するデータの種類や公開方法は厳重に管理される必要はあるとは思いますが、がんの研究を推進するには積極的なデータを開示を希望します。

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